究極のキスカットを考える。

 「キスカット」とは私の知る限り、20年前位にLCC代表占部氏が紙器打抜作業で使い始めた単語と思う。占部氏は独自で製品化した「LCCマット」を拡販するに当たりキスカット」単語を多用された様に思います。違ったらごめんなさいm(__)m
〇キスカット概念
キスカットとは抜型の刃をカッティングプレートギリギリでSTOPする事で刃先を痛める事が無いとの概念でした。LCCマットはチェス裏側の敷く軟質樹脂製シートでした。強く当たるエリアの刃に対しては樹脂が圧縮され刃先に負担を掛けないとの概念で「キスカット」可能とうたわれました。しかし刃の裏に掛かる圧力と罫線裏に掛かる圧力は元来違うので罫線が強く当たり過ぎるので罫割れトラブルが多発しました。このクッション方式での補正は30μ以内だと私は考えています。D社さんのマットもしかりです。160μの高低差が出ている打抜機ではどこで基準を作るかは非常に難しいと思われます。山田紙工さんの面盤下側でゴム磁石を施すプレジションプレートで山田紙工社長様は打抜機の高低差をPBSで先に補正してからプレジションプレートを使う様にお客様に説明をされています。あくまでも整った打抜機で抜型のムラ取りを無くす考え方と、よく理解はされています。
 それでも長岡先端科学大学主導の研究グループではキスカットは有り得ないとの結論を実証実験で導き出して世界的にも各々の研究会で同じ様に結論出しています。これが私の考え方でもありました。この理論の元は楔型の刃物の斜面が板紙に入る時の抵抗が余分な圧力が必要に成る事に起因する様に思われます。その為にミラー刃など斜面を鏡面で仕上げる様な考え方が圧力負担を小さくする技術も出てきています。又、本来は刃角を鋭角に仕上げれば抵抗はもっと小さく出来る訳だが刃先が潰れ易いと云う事に成ってしまいます。なら鋭角刃でキスカットが可能なら刃先は潰れないのではなかろうか?
この考え方を元に再度「キスカット」を考えてみようかと思っている。
 昨日はマスターワークジャパン社さんの打抜機の視察に訪問させて頂いた。通常MKと言われてますが何故?MKなのか?
 ここでキスカットの事を再度考える機会と成った。基本的にキスカットはあり得ないと私は結論づけているが…かれこれ何故?視察に成ったか?云うとPBSユーザー様が試運転に訪問するからと云う事でしたので同席させて頂いた訳だが!その試運転の内容が!2万枚通しを時間8千回転で何回?チョコ停するか?で抜かないでの通紙だったが…何の意味か初めは理解出来なかったのだが…通常クワエる時に左右を一定にする為に引き針押し付け針の機構でのトラブルでのチョコ停が起きるそうです。
 MKの打抜機はマークセンサーでクワエる時に補正が可能で其の機構の有効性の確認と云う事でした。
 
 スイスBOBST社がその機構の特許を出していたのは知っていたが明らかに其の特許に触れない機構だと思われる。  恐るべし…
で!その中でMK打抜機は箔押しの機構の平盤打抜機を出している訳だが当然紙が通紙されないと箔打ちは行われないと云う事でした。当然箔フイルムも巻き取らない機構に成っているのだと思う。
私はカートンボックス9月号で技術論文を出していて、その中ででも指摘しているが面板上に貼った刃先保護用のPETフイルムが板紙が切れなくても刃の跡が付いてしまった事で判明したのが刃先が板紙に入る時には刃先への付加が一定量あるので切れないレベルの抜圧でも板紙が無ければ刃先は面板に接触しているので有る。で!有れば箔押しの機構の様に通紙が無い時には抜圧を逃がせれば刃先は面板に接触しない事が可能で有る。
依って通紙された時に掛かる抜圧を一定に出来る筈なのでキスカットが可能ではなかろうか??
〇究極のキスカット技術
もしこの事が可能で有ればレベルリテンションシステムで整えた打抜機で1mm樹脂面板に溝加工を施し抜型の刃高さ23.6mmに罫線高さも同じ高さで制作すればメタルカウンターと同じ打抜加工が出来るのでは???この事は紙粉問題解決の大きく前進させる事が可能と成る。キスカットで樹脂面板にしても刃の跡が付かないのであればと考える。